10月もまもなく終わろうとしています。
9月の模試の結果が返ってきたり、10月模試の自己採点をした結果を持ってきて
「先生、成績があがらないんです」
と不安を漏らす受験生が、毎年います。
しかも一人や二人ではありません。
受験生であれば、例外なく不安になっていると言っても過言ではないかもしれませんね。
大学受験の業界に長くいると、「なぜ成績が上がってこないのか」の理由がわかってきます。
今回はこの10月11月の「風物詩」とも言えるような「模試の成績が上がってこない不安」について、そのメカニズムについて解説をしていきたいと思います。
そもそもなぜ、受験生の成績が秋に上がらないのか
受験生の成績が秋になっても上がらない理由について考えてみましょう。
ズバリ秋に成績が上がらない理由は明白で、「模試で点数をとるための学習を夏の間にやっていないから」です。
まず前提として秋の模試では夏までの勉強成果が反映されると考えられます。
偏差値が55未満の生徒さんにとっての夏の勉強は、多くの場合、暗記が学習のほとんどを占めています。
そこには単語や用語の暗記のみならず、数学が理科の公式の暗記、解法暗記なども含まれます。
これらの暗記した内容が「直接的に」試験で問われた場合、一時的に成績に反映されることがあるかもしれません。
しかし模試である程度の成績をとる(具体的には偏差値55以上)ためには、それだけでは不十分です。
模試で偏差値55以上に到達するためには、当然模試の問題の半分以上を解ける力が必要になります。
そのためには、問題を見た瞬間に適切な解答方法を判断できる能力や、その判断に基づいて問題を解く計算力や処理力が含まれます。
この2つの要素が揃って初めて問題が解くことができ、結果として成績が上がるのです。
そのためには当然暗記学習だけでは不十分で、「問題を解くための演習」を積む必要がありますが、その段階を夏までにクリアできている生徒さんというのはなかなかいません。
秋に成績が上がらない場合、志望校を下げてもよいのか?
多くの受験生が秋に成績が上がらないことに焦りを感じ、志望校を下げることを相談する人が多いです。
しかし、志望校を下げることはおすすめしません。
志望校を下げたところで結局学力が向上するわけではありません。
E判定の志望校を諦め、現状でそれなりの判定が出る大学を志望校にすげ替えて、安心を得ようとしているだけに過ぎません。
つまり自分より偏差値が低い集団を相手取って、「猿山の大将」になっている状態です。
これは果たして健全な心理状態と言えるでしょうか?
そう問われると、決して「はい」とはいえないと思います。
しかし事実、そういった選択肢をとる受験生はとても多いですし、もしかしたらこれを読んでいるあなたも、今まさに志望校ランクを下げようとしているところかもしれません。
繰り返しになりますが、志望校を下げることは学力を伴って判定が上がっているわけではなく、他の受験生との競争に勝っているわけでもありません。
したがって、心理的には自分が成長できないことに対する無力感が強まります。
受験科目を減らすことのメリットとデメリット
志望校ランクを下げるわけではないけれども、一部の科目に見切りをつけて、3科目勝負をする!なんていう選択肢をとる人もいます。
これについては、実は判断が妥当なケースもあればそうでもないため、一概に愚策、とはいえません。
共通テストまで残り3ヶ月を切った状態で、限られた時間と体力をどの科目にどう割り振るのかはとても重要です。
すなわち「選択と集中」によって、学習すべき科目に注力することは、合格を掴み取るうえで大切な作戦になります。
科目をどのように選択するべきかは、その人の現時点での学習到達度によりますので、ぜひ信頼のおける先生と相談をして決定をしてもらえればとおもいます。
努力を続けられる人しか伸びない
ここまで受験生が秋に成績が上がらない理由について解説をしてきました。
結局のところ、志望校を下げたり、模試の結果に過度に焦ることなく、努力を続けることが重要です。
何度でもいいますが、この時期の受験生は「みんな不安です」
不安なのはあなただけではありません。
そしてその不安に押しつぶされて、志望校ランクを下げてしまったり、勉強のモチベーションを立て直せなかったり、場合によっては大学受験そのものを諦めてしまう人も少なくないと思います。
であれば、志望校合格のためにできることは、その選択肢をとらずに努力を続けることしかないのではないでしょうか?
夏の間にとりくんだ暗記学習に芽がでるのも、秋以降です。
秋以降から共通テストの演習や赤本演習を積むことで、夏までに積んだ知識同士が紐づくようになり、少しずつ「問題を解くというのはどういうことか」ということがわかってきます。
その状態になるためにも、この苦しい秋の季節を、歯を食いしばって一緒に頑張って言ってほしいと思います。
あなたの大学受験を、心から応援しています。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。